三井鉱山㈱は明治の創業以来、常に我が国石炭業界の旗艦企業でした。
日本一の出炭量を誇った三池(福岡県大牟田市)をはじめとした炭鉱運営に留まらず、大正期には早くもコークス炉を核とした石炭化学コンビナートを運営するなど、リーディングカンパ二ーとして営々と蓄積してきた関連技術・ノウハウで多角化にも積極的に取り組んできました。高性能な活性コークス(AC)とこれを活用した乾式脱硫脱硝技術(ReACT)もその流れのなかで生まれました。
一方、電源開発㈱は戦後の電力不足を解消するため、奥只見等の大規模水力開発を行う国策会社として設立されました。
その後も我が国のエネルギー政策を、商業ベースで成立させて支えてきましたが、国内炭を使用した火力発電もそのひとつでした。昭和30年台終盤、当時は石油火力が主流の時代でしたが、石炭政策に基づいて三池炭をはじめとした国内炭を利用する発電所を次々と建設しました。
そこで培われた技術が、オイルショック時に海外から石炭を輸入し発電するという大胆な戦略を商業ベースで成功させ、完全民営化した現在も石炭火力発電の分野で国内トップランナーの地位にあり続ける礎となっています。
発電所への国内炭供給に始まった2社の関係は、石炭火力発電の環境技術の分野にも広がっていきました。2002年(平成14年)、J-POWER磯子火力発電所のリプレースにあたり、横浜市の厳しい環境基準クリアのため、J-POWERが選んだのが、三井鉱山㈱の高性能ACを活用した乾式脱硫脱硝システムでした。
乾式脱硫脱硝システムに不可欠な高性能活性コークスの安定供給を確固たるものにするため、2005年(平成17年)に2社が共同で設立したのが、JM活性コークス㈱です。安価でクリーンな電力に欠かせぬ活性コークスを生産し、J-POWERに提供しています。
また、関連エンジニアリング技術を三井鉱山㈱から譲り受け、当社と同時期に設立されたのがジェイパワー・エンテック㈱です。乾式排煙処理技術(商標登録名「ReACT」)を国内に留まらず世界に向け発信、排ガスのクリーン化にグローバルに取り組んでいます。
その後、三井鉱山㈱は日本コークス工業㈱と名前を変え、事業の選択と集中に伴いJMACへの出資比率は10%となりましたが、三井鉱山㈱で生まれ、育った技術とノウハウは、熱い思いとともに当社に引き継がれ、更なる進化を続けています。
JMACはこれからもその名に負ったMの文字を、誇りと自信とともに掲げてゆきます。